2017年のお正月も明けて1月末、チェロケースを新調することにした。今まで使っていたGEWAのケースは20年目、ジャンクというほどではないけれど、ちょこちょことガタが目立ち始めている。キズ汚れは当然、内装の生地は色あせ、はがれ、クッションはどこへやら。ヒビが入りそうになっているところや、留め具が甘くなっているところ、各所のサビも目立つ。
このケースは2台目の楽器と一緒に買ったもので、価格はたしか10万円弱。当時、予算からいえば、色もメーカーも大して選択肢がなかったし、デコる趣味も、こだわりもなかったので、何色がいい?と聞かれて、すぐ買えるなら何色でもいい、と答えたら、非常に困惑されたのを覚えている。同じ色のケースの人に会ったこともないから、不人気レアカラーなのかも。
店主の予言
けれど、この20年の間に本当に不具合で修理交換したのはたった1度、カラビナが欠けたリュックベルトだけ。本体ではなく、付属品のほうの金具だ。地方なので基本的に車移動というのもあるけど、そこはさすがドイツ製。不注意で倒したり、ぶつけたりしたことはあっても、中身に影響があることは、ありがたいことに一度もなかった。今思えば、あまりケースに関心を寄せていなかったその時の自分に、少し重くても絶対これを買うべきだ!と力説した、楽器店の店主の言葉の意味が、よくわかるというものだ。
あらためて重さを量ってみたら、楽器と弓2本を入れて9.6キロ。ちょっとした筋トレグッズなみだ。軽量ハードケースの値段が高いのはもちろん知っていたけど、なんとなくそれまで、必要に迫られず、特に興味も湧かなかったので、購入を本気で考える機会がなかったのは事実だ。しかし単純に10万円=20年持ったのだから、本当に壊れるのを待っていたら、そういう意味ではたぶん、いつまでたっても買えない。今後若返ったり、筋力UPする予定もないので、10年後、いや5年後にはこの重さが辛くなってくるだろう。それに加えてガタを放置した結果、想定外のタイミングで、楽器や自分にけがを負わせるようなことは避けたい。
軽いという意味では本当に最初に買ったソフトケースもあるのだけれど、実際あまり出番はない。普段は訳あって人から預かっているチェロが入っていて、肩が痛くてハードケースを背負うのがつらい時や、徒歩での移動の時間が長い時、車によりハードケースが入らない場合などで、年に数回といったところ。困ったことにソフトケースは自立しないので、少々見栄えは悪いが、自宅ではダンボールに入れて、立てかけている。弓用のケースも必要だし、保管・運搬どちらにも中途半端な感じは拭えず、これもいつまでもこのままにしておくことはできないだろうなぁと、かねてからの懸案事項だった。
まずは予算。20万円くらいあれば、最高級品ではなくても、長く使えるものが買えるだろう。何を買おうが個人の自由だとは思うけれど、たいした腕も楽器ももっていない自分には、ほどほどのもので良い。なんとなく、自分の誕生日がある2月ごろに買おうかな、というイメージで、貯金は秋からゆる~くスタートして、目標額はクリアしていた。
古いケースも、廃棄しなくても、預かりチェロの保管用にしておいて、コンディションの悪いところなどに持っていく時には使えるだろう。やはりほしいと思った時が買い時だ。自分の中で、いろいろなタイミングが揃ったことにして、ここから小さな購入プロジェクトがスタートする。


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